化物語 傷物語とは何なのか? 前編( 西尾維新 構造解析視点 )
●アニメ 化物語の主人公はなぜ元吸血鬼だったのか?

・最強の怪異、吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと、阿良々木 暦の絆と裏切りと傷の物語。


・原作 傷物語を楽しく前後編で構造解析します。
●西尾維新 構造解析視点 用法
・原作がライトノベルなので手が出しづらいアニメ版視聴者に有効。
・ライトノベル製作者に有効。
・構造解析にて作者の思考と製作のコンセプトを勉強するに有効。
・忍野忍のことを知りたい人に有効。
・傷物語のアニメ化を待つ人でネタバレしたくない人には無効。
●傷物語とは?
・購入日2009年9月4日時点で一年前の作品。
・原作発売日: 2008年5月8日
・テレビアニメ 化物語の 前日譚。

・この傷物語を読むきっかけになったのが、あるコメントつき動画サイトでのある一言だった。(またかい
●傷物語の魅力、最強の怪異 キスショットとは?
・アニメ版、化物語から入った人は、どうしてもこの前日譚に興味が行くだろう。
・第一話で、主人公阿良々木暦が忍野メメに戦場ヶ原ひたぎを紹介する際にであった少女。
・金髪で体育座りで、世を儚む目付きで言葉をしゃべらない美しい金髪の少女。

・名前は忍野メメが命名して、「忍野忍」。
・ハートアンダーブレードからとって、心にしのぶ刃なので「 忍 」と忍野は言う。
・阿良々木 は、戦場ヶ原に対し言及はしなかったが、「美しき鬼、吸血鬼の絞り粕」という。
・この流れからして、化物語の前におきた阿良々木 が吸血鬼になった鍵となる少女として間違いは無い。
・傷物語では、その阿良々木暦が吸血鬼になった、「春休み」の期間の怪異が描かれている。
・そのはじめての二人の邂逅は衝撃的だ。
・深夜、エロ本を買った阿良々木 暦はその帰りに、両腕両足を奪われた27歳くらいの金髪美女が路上の街頭に照らされていたのを目撃する。
・彼女は、名を「キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード」と名乗る。

・人間よりも上位の存在、吸血鬼が今命を落としかけている。
・阿良々木 を食す事で、何とか延命ができると、禍々しく語る美しき吸血鬼。
・しかし、死にたくないという彼女の本心と嗚咽に、阿良々木 は助けたくなる。
・自らを、「人間強度」という概念で、友人を作らなかった阿良々木 暦には、人間関係においては空白で執着が皆無だった。
・悲しむやつが居ないならば、自分の命をくれてやろう。
・ごめんなさいと、何かに謝罪続ける美しき鬼に、彼女はそんなことをしてはならない存在だと規定し、阿良々木 は彼女に食われた。
・キスショットに血を吸われたのだ。
・人間を食料としてしか見れない吸血鬼との間に、絆が生まれていた。
・目覚めた阿良々木の首には、二本の牙の傷跡がある。
・殺されずに、美しき鬼の眷属として彼もまた吸血鬼になっていた。
●傷物語 もうひとつの魅力 忍野メメと西尾維新の理
・アニメ版 化物語から入った人ならば、彼の役割はご存知だろう。

・怪異と現実との狭間の仲介者であり、戦場ヶ原ひたぎや神原駿河など助けるアドバイスだけはして、後は勝手に相手が助かる行動だけを観測するアロハシャツの男。
・傷物語では、吸血鬼化した阿良々木 と初めて出会うことになる。

・おそらく、設定上最強の人間だろう。
・最強の怪異、吸血鬼の中でも最強を誇るキスショットを相手にしても、手段を問わなければ殺しきることもできる人間である。
・しかし、そんな退治屋などしないのは彼が「中庸主義」だからだ。
・何事も、バランスを考え、観測し調停する。
・ゆえに、一方的にどちらの勢力にも口は出すが、バランスを崩す助言や力は貸さない。

・これは、化物語でも傷物語でも本筋のテーマになっている。
・つまり、忍野メメとは西尾維新の思想に強く影響されたキャラクターといえる。
・中庸である事は、中立でなくてはならず、それは現代社会に生きる一介の人間では難しいスタンスだ。
・社会は様々な思想、主義を抱え反目しあっている、人類全員が親友になれないのと同じ事で、誰しもいつの間にかそれらの枠に入ってしまっているのだ。
・その枠に気づき、中立でいるということは、絶対の孤独を享受する事になる。
・また、頭や能力が秀でていないと、相手に利用されて取り込まれる。
・忍野メメが、なぜアロハシャツを着て、人に嫌われるような悪辣な物言いなのかは、自らの中庸を守る術なのだ。
・西尾維新が構想する中で、強き者の定義として最上位に位置するキャラクター像が、忍野メメなのである。

・この物語で一番の魅力があって当然だろう。

●傷物語 簡易フロ-チャート
・傷物語 構造解析前提の記事なので物語の流れの把握は最低限必要なのでここに記載。
001
・阿良々木暦の語り部視点。(メタフィクションパート)
・自分とキスショットの出会いを語る義務があるモノだと感情的になる。
・吸血鬼の彼女に対し、償いは一生かかっても終わらないのだと言う。
↓
002
・春休み直前の三月二十五日。
・人間強度という概念を持つ阿良々木 暦には友人がいない。
・人とかかわると、自分も悲しい思いや弱点が増えるという考えだ。
・だから孤独でやることなく、終業式の帰りにぶらぶらしていた。
・そんなさなか羽川翼と出会う。
・会話するきっかけは、風でめくれた羽川のパンツを凝視してしまった事。

・阿良々木 暦は羽川翼を知っていた、委員長であり成績のいい少女として。
・羽川も阿良々木 を知っていた・・・個性的な孤高な人物として。
・二人の会話は弾む。
・羽川は「この街に現れる吸血鬼」の噂話を阿良々木 に話す。
・人間よりも上位の存在、吸血鬼に遭ってみたいのだという。
・羽川は阿良々木 が友達が居ないと聞き、無理やり携帯電話を奪いTEL番メールアドレスを入力する。
・いつも自分が植物のように生きられれば幸せだと考えていた。
・そんな、阿良々木 暦に友達ができてしまった瞬間だった。
↓
003
・その夜、家の人間に見つからないように阿良々木 はエロ本を買いにいく。
・羽川のパンツの幻影に悶々としたためだ。
・本屋でエロ本を購入後、街灯が壊れて暗いのに気づく。
・一つだけ街灯が照らされている所がある。
・そこで阿良々木 暦は出会う、両腕両足を切断され死にかけている美しき吸血鬼に。

・傲慢な物言いな吸血鬼に畏れる阿良々木 。

・だが、死に至る吸血鬼は死を恐れ、子供のように泣いた。
・その、行為を目の当たりにする阿良々木にとって、それは我慢がならなかった。
・自分は友達が居ない、親も妹も執着が無い、阿良々木 は悲しみつつ自分の命を吸血鬼に差し出した。
・これで、彼女は助かり、自分の死が確定したはずだった。
↓
004
・阿良々木 は意識を取り戻す、そこは元学習塾の廃墟。
・一緒に見知らぬ十歳ほどの金髪の少女が居た。
・すでに、三月二十八日。
・二日が経過していた。
・外の光に触れようとしたとき、阿良々木 は自分の変化に気づく。
・体が焼け、再生を繰り返す自分の体。
・そして、それを助けたのが、あの少女。
・少女は語る、自分が阿良々木 に助けられた美しき吸血鬼であることを。
・両腕両足を失い、体が幼女化した事。
・そして一番重要なこと、阿良々木 を眷属である吸血鬼にしたことを。
・彼女の名は「キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード」といった。
・キスショットと名指しする阿良々木。
・このときキスショットと相手を呼ぶ重みは知らなかったし、彼女自身もその名を口にすることを許したので、そのまま名を呼び続けることになる。
・そして、阿良々木 は一番の心配事を口にする。
・人間に戻れるのか?と。
・キスショットは戻れるという。
・そして、その条件と約束を阿良々木 に提示するのである。
↓
005
・人間に戻れるための条件。
・それはキスショットの両腕両足を奪い返すこと。
・相手は三名。
・吸血鬼退治の専門家だ。
・なぜ、キスショットが狙われたか。
・油断しなければ、三人を簡単に殺せるという。それほどレアで最強の吸血鬼。
・そして稀有な能力「怪異殺し」を持つゆえだという。
・阿良々木 はキスショットの言動に何か見落としている気がしていたが指示通りに夜の街に徘徊し三人の吸血鬼退治屋を探す。
・夜の街を徘徊する阿良々木 は三叉路にでた。
・そう、すでに囲まれていた、三人の吸血鬼退治屋に。

・正面右側に筋肉隆々で双剣の持ち主巨漢、ドラマツルギー。
・正面左側に線の細い男で巨大な十字架を持つ、エピソード。
・後方からは、神父風でおとなしい男、ギロチンカッター。
・3人は連携攻撃を阿良々木 に仕掛ける。
・それは、存在の小さくなったキスショットの行方を聞き出すための算段。
・恐れで動けない阿良々木 。
・そこへ、三人の攻撃をすべて受け止めて、尚をも無傷で威圧する男が現れた。

・そのチャライおっさんは、阿良々木 に「何かいいことでもあったのかい」と言った。
↓
006
・チャラいアロハシャツの命の恩人は、忍野メメと名乗った。
・忍野と阿良々木はキスショットの待つ元学習塾跡にきていた。
・忍野は語った。
・キスショットにこの場所を提供して結界まで張っていた事。
・阿良々木 が3人の吸血鬼退治屋と交戦状態に入ったこと。
・理由はわからないが、中立とバランスを保つ立場にあるらしい事。
・忍野メメはキスショットが阿良々木 を人間に戻す意思があることを認識すると、仕切りを始めた。
・それは、吸血鬼退治屋達に一対一の対戦方式でお互いルールをきめる交渉を取り付けるとだった。
・信用できない、と阿良々木 は考えるが、忍野の思惑通りそれから相手は手を出してこなかった。
・交渉はうまく言ったのだろうか?
・忍野は共に元学習塾跡に住み着き、段取りの期日が来た。
・三月三十一日、それはドラマツルギーと阿良々木 との対戦期日だった。
↓
007
・ドラマツルギーの対戦期日にキスショットは相手が同属であると阿良々木に伝える。
・吸血鬼に裏切りの概念はないのだという。
・吸血鬼に血を吸われると存在を搾り取られてしまうと忠告を受けるがそれは攻略にはなってない。
・妙に阿良々木 を信頼するキスショットだが、それでは確信も何も無い。
・阿良々木 はやむを得ず、本屋で「初心者の合気道」の本を購入(他、クラッシックの本、野球の本を購入、格闘技入門書を買うのが気恥ずかしかったのだ)
・ドラマツルギーとの対決の場所は、自分の通う高校の校庭。
・阿良々木 は約束どおり、そこへ向かう最中、羽川翼と出くわしてしまう。
・こんな夜に徘徊していた羽川の理由は、吸血鬼を探していたからだという。
・阿良々木 は自分の向かう先が危険なことを理解したうえで、羽川を言葉で悪態をつける。
・しまいには、自分の携帯に羽川のTEL番を抹消して見せた。
・さすがに、空気が悪くなり羽川は阿良々木 の前から消えた。
・これで、人間強度を保たれたのである。
・そして約束の校庭へ。
↓
008
・筋肉隆々の吸血鬼ドラマツルギーは先に校庭で鎮座していた。

・しかし、阿良々木 に対する言葉は意外なものだった。
・吸血鬼退治の吸血鬼の仲間になれという。
・当然人間に戻りたい阿良々木 は却下である。
・二人は激突した。
・だんだん、自分の体が並みの吸血鬼ではないと知る阿良々木 。
・勝負は潜在能力が全てだった。
・吸血鬼の変身能力で両腕を双剣にする能力のドラマツルギーだが。
・腕を吹き飛ばされても、瞬時に再生する阿良々木 と、顔面を阿良々木 により損壊させられたドラマツルギーは再生に二日もかかるという大きな違いがあった。
・これで勝負は決した。
・ドラマツルギーは早々に自分の敗退を宣言し立ち去る。
・しかし、一番の問題は、阿良々木 を心配し、その後をついてきて全てを目撃していた羽川翼のほうだった。
↓
009
・次の日、羽川に事情を説明するということで帰ってもらう。
・元学習塾で忍野がキスショットの右足を持ってきた。
・交渉どおり、ドラマツルギーは約束をまもったのだ。
・右足を喰らい、キスショットは幼女の体格から成長し、12歳くらいの姿となる。
・そして、忍野は阿良々木 にこう伝える。
・眷属にされることの意味は重要だということを。
・なぜ、阿良々木 を喰わずに眷族にしたのか。
・それはキスショットが阿良々木 を死なせたくなかったからだと。
・そして、問題は彼女が完全復活した後だということを。
↓
010
・四月一日の日没直前の元学習塾。
・羽川翼にキスショットや、自分に起きた経緯を話した。
・こんな状態の阿良々木 に下着や相談まで乗ってくれる羽川。
・それはとても常軌を逸しているかもしれない。
・でも、今の阿良々木 にとっては彼女は救いであり心強い味方だった。
・昨日のドラマツルギー戦の反省として、漫画の主人公をイメージして戦うのが有効だという始末。
・このとき、忍野は羽川を避け外出し、キスショットに関しては羽川のことが目に入っていないようだった。
↓
011
・四月四日、次の対戦相手が決まる。
・相手は体格の3倍以上ある十字架を武器にする、エピソード。
・その正体は、吸血鬼のハーフ。

・吸血鬼の弱点が無く、吸血鬼の特性を持ち合わせる。
・勝負は一方的に阿良々木に不利であった。
・だが、再びこの対戦を覗きに来ていた羽川翼の助言で、阿良々木は相手を打倒する。
・しかし、エピソードの攻撃で羽川翼は死に瀕してしまう。
・絶叫し、阿良々木は忍野に助けを請う。
・忍野は対価300万で阿良々木に羽川を救うアドバイスをする。
・そう、阿良々木は吸血鬼。
・その血は生物の再生させる奇跡の液体なのだ。
・瀕死の羽川が阿良々木の血により、生命活動を取り戻す。
↓
012
・忍野の手により、エピソードからキスショットの左足を取り返した。
・キスショットは右足と同じように、左足を食う。
・そして、キスショットは成長する、今度は十七歳くらいの姿だ。
・この日もキスショットの睡眠後に、羽川翼が元学習塾におとずれた。
・羽川との雑談が始まる。
・阿良々木は思う、死ぬ思いまでした羽川はいまだに自分のために尽くしてくれるのだ。
・それは、聖人の様であるが実際怖いものだ。
・阿良々木は羽川にその言葉をぶつけ、この件から引いてくれと頼んだ。
・条件として、自分が人間に戻った後、始業式の学校で再開を喜ぼうと。
・羽川はエッチでパンツ好きな阿良々木のために、はいているパンツを阿良々木に貸す。
・常軌が逸している、というより、痴女のようだ。
・新学期の再開時にパンツを返す約束し、羽川は自宅へ帰った。

↓
013
・三時間後、忍野が帰ってきた。
・最後の対戦相手ギロチンカッターとの交渉に失敗したのだ。
・ギロチンカッターは、羽川を襲い人質にした。
・人間であり聖職者であり、自らを神と名乗るギロチンカッター。

・怪異ではないが、悪意が強い。
・緊急に学校校庭にて阿良々木との戦いが始まる。
・しかし、戦いとはいっても優位なギロチンカッターの言葉での戦い。
・羽川を盾にした一方的な交渉。
・勝利は確定している、阿良々木が人間に戻りたいという観念を取り払わなかったらならばだ。
・ゆえに羽川を救うため、阿良々木は人間をやめる。
・吸血鬼の変身能力をつかう、それは常日頃阿良々木が植物になりたいというイメージに沿う形で具現化した。
・阿良々木の腕が一瞬で植物の枝となりギロチンカッターをからめて捕らえる。
・勝敗は決した。
↓
014
・四月六日、昼。
・忍野メメが、交渉どおりギロチンカッターから両腕を取り返してきた。
・自ら神と名乗り、怪異を全否定するギロチンカッターが返してくるとは意外だった。
・これも、忍野の交渉の手腕なのだろうか?。
・まだ疑問はある、忍野のおかげで一対一の決闘形式にしてもらっても、退治の専門家相手に自分が勝てた理由。
・キスショットがあの程度の退治屋三人で、瀕死に陥るのかという疑問。
・答え。
・忍野がすべて知っていたのだ。
・いや、当事者だったのだ。
・彼の手には、心臓が握られていた。

・キスショットの力がほとんど失われた理由が、忍野により盗み出されたキスショットの心臓のせいだった。
・確かに、力を失ったキスショットと退治屋三人では五分五分だろう。
・すべては、バランスを理におく忍野の独断だった。
・忍野の読みでは、退治屋とキスショットを五分にしたあとは、どちらが勝っても関与しないはずだった。
・だが、怪異殺しのキスショットが眷族を作ることは想定外だった。
・阿良々木暦が吸血鬼になってしまう事で、忍野の算段はリセットされたのだ。
・ラスボスという立ち位置まで阿良々木に教える忍野メメ。
・しかし、羽川を巻き込んでしまったという罪滅ぼしで心臓を阿良々木にわたす。
・忍野は元学習塾を立ち去る間際、阿良々木に最後の質問をする。
・「最近、おなかすかない?」
↓
015
・その夜、心臓と両腕をキスショットに返し、完全体となった。
・姿は、初めて出会ったときの27歳ぐらいに戻った。
・だが、9歳の子供のようにはしゃぐのだ。
・ちなみに、忍野に心臓を奪われていたことには気がついてなかったようだ。
・ついに、人間に戻るときが来た。
・だが、その前に、キスショットと二人で元学習塾の屋上で積もる話をする。
・それは、他愛の無いものからやがて、キスショットの過去の話へと移る。
・日本に来た理由、それは、第一の眷属が四百年前の日本の侍だったこと。
・死んだ理由は、自殺だったこと。
・それ以降、眷属を作ることを禁じたこと。
・その侍の形見の刀「心渡」を今でも腹の中に、持ち続けていたこと。
・切ない、キスショットの一面を見る阿良々木。
・やがてくだらないことを言い合える仲になっていた。
・夜も深くなり、阿良々木は小腹空いてコンビニに行くことを伝えて元学習塾を去る。
・お別れに、盛大にケーキでも買ってやろうと考えて。
・四月七日 午後二時過ぎ。
・「ただいま」。
・戻った阿良々木の目に映ったのは、絶望。
・キスショットの食事。
・食べていたのは、あのギロチンカッター。

・阿良々木に気づき、美しき鬼は首をかしげてこう言った。

・「めがねで三つ編みの携帯食は持ってこんかったのか?」
↓
016
・「人間を食べちゃ駄目だろ・・・」。
・キスショットの理解不能な表情を見て、阿良々木は気がつく。
・吸血鬼は人を食うのが常識で、自分が人間に戻ったとき起こる恐怖を。
・にげた。
・そこは、学校の体育倉庫。
・恐怖に脳をかき乱されながら、最初の眷属が死んだ理由がやっとわかる。
・人を食すことを拒んだためだ。
・阿良々木に吸血衝動がおき始めていた。
・助けてほしかった。
・すでに羽川の携帯番号は自分で消してしまった。
・だが、また入っていたのだ。
・羽川はこうなることがわかっていたように。
・自分のおかれている状況で、羽川に助けを呼ぶのは危険だ。
・だがもはや、阿良々木は孤独と恐怖に耐えられない。
・電話をすると、羽川はすぐに駆けつけてくれた。
・常軌を逸している。
・阿良々木は羽川にすべての事実をぶちまけた。
・羽川もそれに興じる事を使命に感じているようだ。
・そして、人間に戻る方法を調べて阿良々木に希望を見出す。
・羽川が言うには、たった一つ。
・それは、眷属が主を殺すことだという。
・阿良々木は自殺の道をやめ、キスショットを殺す決意をしめす。
・しかしキスショットは、巨乳のお姉さんなので、悩殺されないとも限らない。
・阿良々木は、羽川にの胸を触らせてくれと懇願するが。

・羽川が、阿良々木に犯されてもいいという覚悟だったとわかると、臆してしまう。
・土下座で謝罪する童貞がそこにいた。
↓
017
・体育倉庫の外で轟音がした。
・キスショットが待ち構える。

・阿良々木は羽川に勝利を約束し外に出る。
・自分がキスショットを助けてしまった罪の清算をするために。
・キスショットは阿良々木を誘う。
・人間の立場になって自分の行いが、阿良々木にはまずいことだと理解し謝罪し。
・そして、永劫に自分と共にいてほしいと問う。
・キスショットは阿良々木の拒絶は想定していた。

・阿良々木が自分を助けたのは自分が弱っていたから。
・キスショットが阿良々木を助けたのは、阿良々木だからなのだ。

・それは切ない現実だった。
・決裂する二人の吸血鬼。
・殺し合いにて決着をつけることになる。
・しかし、対等に勝負することをキスショットは約束する。
・怪異殺し「心渡」と幻想具現化を使わない、不死力だけの勝負を。

・勝負は始まった。
・しかし、体育倉庫内で話を聞いていた羽川は違和感を感じていた。

・純粋な不死力の勝負。

・頭を吹き飛ばしても、両腕を粉砕してもすぐに再生する両者。

・不毛な戦いだ。
・ついに、羽川が違和感に気づき阿良々木のところに駆け寄る。
・その答えは、キスショットにとって、動揺を誘うものだった。
・隙を突いて、阿良々木はキスショットの首に牙を立て血をすする。
・勝負は決した。
・まだ血は半分しか吸ってはいない、羽川の答えも気になる。
・羽川は答える、キスショットが困惑するその答えを。
・それは、初めから阿良々木に殺されるためだったということを。
・キスショット。
・それは、第一の眷属が自殺して400年死に場所を求めていた。
・しかし、それは退治屋に殺されることではない。
・第一の眷属のために死んでやれなかった自分の落ちどを回復させるため。
・阿良々木のために死んでやることを選んだ。
・無意識に阿良々木の頬には涙が流れていた。
・むしょうな無力感と、苛立ちが立ち込める。
・気がつくと阿良々木は忍野メメの名を叫んでいた。
・「こんなところで出会うなんて空前だね」
・忍野メメはやはり今回も高みの見物をしていたのだ。
・阿良々木は、この状況の中で最善の策を忍野に依頼した。
・それは、みんなが不幸になる方法。
・キスショットの血を死ぬ寸前まで吸い取り、吸血鬼としての特性を失わせる。
・吸血鬼もどきの子供に堕ちてもらう。
・阿良々木も吸血鬼のスキルは少し残る、吸血鬼もどきになってもらう。
・無論、人間も食えない存在になる。
・誰の望みも叶わないから不幸。
・キスショットは死ねず、阿良々木も人間には戻れない。
・「僕はお前を助けない」。
・阿良々木は、自分を殺して人間に戻ってくれというキスショットの懇願を裏切ったのだ。
↓
018
・翌日、新学期が始まった。
・体育館でクラス分けを見て歓喜する阿良々木。
・羽川翼と同じクラスになったのだ。
・羽川と再会する阿良々木。
・羽川は吸血鬼が眷属を作る行為は性行為に近いといった。
・推測はつく、第一の眷属がキスショットの恋人だったのかもしれないことを。
・その眷属と阿良々木を重ねて、償いを果たそうとしたことを。
・放課後。
・元学習塾後へ一人で向かう。
・忍野がいた。
・「それじゃ第一回目はじめようか」。
・金髪の少女に血を吸われる。

・「お前が明日死ぬなら僕の命は明日まででいい、お前が今日を生きてくれるなら、僕もまた今日を生きていこう」。
・そう誓った。

・そして傷物達の物語が始まる。
END
・今回は、涼宮ハルヒの分裂と違い文字数もページ数も違うので、少し長くなってしまった。
・でも、このくらいの情報量で簡易なのだ。
・ここまで読んだ原作未読の人は、原作を読む気にはなれないかもしれないが、構造解析するに最低限な情報量だと考えてほしい。
●後編。
・伏線の張り方の構造解析。
・製作者視点で同じ構成を模倣してみよう。
・テーマ、製作コンセプトの構造解析。
・シナリオを作るうえでの教材的視点。
・後編へ続く
●当blog内 関連リンク
原作 傷物語とは何なのか? 前編( 西尾維新 構造解析視点 )
原作 涼宮ハルヒの分裂 とは何なのか? (谷川流 構造解析視点)
●懸賞当選レビュー関連リンク
・「ミスドの特大ポン・デ・ライオンを応募してみた(応募編レビュー)」
・「アルポータル390プレゼント ハーヴェ様缶バッチコンプリートセット」レビュー
・「TYPEMOONオールアラウンドフェア2010 WINTER」の図書カード「CANAAN」レビュー
←携帯壁紙Flash「回転する仮定の不在証明タロット」ぷれぜんと中。
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・最強の怪異、吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと、阿良々木 暦の絆と裏切りと傷の物語。


・原作 傷物語を楽しく前後編で構造解析します。
●西尾維新 構造解析視点 用法
・原作がライトノベルなので手が出しづらいアニメ版視聴者に有効。
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・傷物語のアニメ化を待つ人でネタバレしたくない人には無効。
●傷物語とは?
・購入日2009年9月4日時点で一年前の作品。
・原作発売日: 2008年5月8日
・テレビアニメ 化物語の 前日譚。

・この傷物語を読むきっかけになったのが、あるコメントつき動画サイトでのある一言だった。(またかい
●傷物語の魅力、最強の怪異 キスショットとは?
・アニメ版、化物語から入った人は、どうしてもこの前日譚に興味が行くだろう。
・第一話で、主人公阿良々木暦が忍野メメに戦場ヶ原ひたぎを紹介する際にであった少女。
・金髪で体育座りで、世を儚む目付きで言葉をしゃべらない美しい金髪の少女。

・名前は忍野メメが命名して、「忍野忍」。
・ハートアンダーブレードからとって、心にしのぶ刃なので「 忍 」と忍野は言う。
・阿良々木 は、戦場ヶ原に対し言及はしなかったが、「美しき鬼、吸血鬼の絞り粕」という。
・この流れからして、化物語の前におきた阿良々木 が吸血鬼になった鍵となる少女として間違いは無い。
・傷物語では、その阿良々木暦が吸血鬼になった、「春休み」の期間の怪異が描かれている。
・そのはじめての二人の邂逅は衝撃的だ。
・深夜、エロ本を買った阿良々木 暦はその帰りに、両腕両足を奪われた27歳くらいの金髪美女が路上の街頭に照らされていたのを目撃する。
・彼女は、名を「キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード」と名乗る。

・人間よりも上位の存在、吸血鬼が今命を落としかけている。
・阿良々木 を食す事で、何とか延命ができると、禍々しく語る美しき吸血鬼。
・しかし、死にたくないという彼女の本心と嗚咽に、阿良々木 は助けたくなる。
・自らを、「人間強度」という概念で、友人を作らなかった阿良々木 暦には、人間関係においては空白で執着が皆無だった。
・悲しむやつが居ないならば、自分の命をくれてやろう。
・ごめんなさいと、何かに謝罪続ける美しき鬼に、彼女はそんなことをしてはならない存在だと規定し、阿良々木 は彼女に食われた。
・キスショットに血を吸われたのだ。
・人間を食料としてしか見れない吸血鬼との間に、絆が生まれていた。
・目覚めた阿良々木の首には、二本の牙の傷跡がある。
・殺されずに、美しき鬼の眷属として彼もまた吸血鬼になっていた。
●傷物語 もうひとつの魅力 忍野メメと西尾維新の理
・アニメ版 化物語から入った人ならば、彼の役割はご存知だろう。

・怪異と現実との狭間の仲介者であり、戦場ヶ原ひたぎや神原駿河など助けるアドバイスだけはして、後は勝手に相手が助かる行動だけを観測するアロハシャツの男。
・傷物語では、吸血鬼化した阿良々木 と初めて出会うことになる。

・おそらく、設定上最強の人間だろう。
・最強の怪異、吸血鬼の中でも最強を誇るキスショットを相手にしても、手段を問わなければ殺しきることもできる人間である。
・しかし、そんな退治屋などしないのは彼が「中庸主義」だからだ。
・何事も、バランスを考え、観測し調停する。
・ゆえに、一方的にどちらの勢力にも口は出すが、バランスを崩す助言や力は貸さない。

・これは、化物語でも傷物語でも本筋のテーマになっている。
・つまり、忍野メメとは西尾維新の思想に強く影響されたキャラクターといえる。
・中庸である事は、中立でなくてはならず、それは現代社会に生きる一介の人間では難しいスタンスだ。
・社会は様々な思想、主義を抱え反目しあっている、人類全員が親友になれないのと同じ事で、誰しもいつの間にかそれらの枠に入ってしまっているのだ。
・その枠に気づき、中立でいるということは、絶対の孤独を享受する事になる。
・また、頭や能力が秀でていないと、相手に利用されて取り込まれる。
・忍野メメが、なぜアロハシャツを着て、人に嫌われるような悪辣な物言いなのかは、自らの中庸を守る術なのだ。
・西尾維新が構想する中で、強き者の定義として最上位に位置するキャラクター像が、忍野メメなのである。

・この物語で一番の魅力があって当然だろう。

●傷物語 簡易フロ-チャート
・傷物語 構造解析前提の記事なので物語の流れの把握は最低限必要なのでここに記載。
001
・阿良々木暦の語り部視点。(メタフィクションパート)
・自分とキスショットの出会いを語る義務があるモノだと感情的になる。
・吸血鬼の彼女に対し、償いは一生かかっても終わらないのだと言う。
↓
002
・春休み直前の三月二十五日。
・人間強度という概念を持つ阿良々木 暦には友人がいない。
・人とかかわると、自分も悲しい思いや弱点が増えるという考えだ。
・だから孤独でやることなく、終業式の帰りにぶらぶらしていた。
・そんなさなか羽川翼と出会う。
・会話するきっかけは、風でめくれた羽川のパンツを凝視してしまった事。

・阿良々木 暦は羽川翼を知っていた、委員長であり成績のいい少女として。
・羽川も阿良々木 を知っていた・・・個性的な孤高な人物として。
・二人の会話は弾む。
・羽川は「この街に現れる吸血鬼」の噂話を阿良々木 に話す。
・人間よりも上位の存在、吸血鬼に遭ってみたいのだという。
・羽川は阿良々木 が友達が居ないと聞き、無理やり携帯電話を奪いTEL番メールアドレスを入力する。
・いつも自分が植物のように生きられれば幸せだと考えていた。
・そんな、阿良々木 暦に友達ができてしまった瞬間だった。
↓
003
・その夜、家の人間に見つからないように阿良々木 はエロ本を買いにいく。
・羽川のパンツの幻影に悶々としたためだ。
・本屋でエロ本を購入後、街灯が壊れて暗いのに気づく。
・一つだけ街灯が照らされている所がある。
・そこで阿良々木 暦は出会う、両腕両足を切断され死にかけている美しき吸血鬼に。

・傲慢な物言いな吸血鬼に畏れる阿良々木 。

・だが、死に至る吸血鬼は死を恐れ、子供のように泣いた。
・その、行為を目の当たりにする阿良々木にとって、それは我慢がならなかった。
・自分は友達が居ない、親も妹も執着が無い、阿良々木 は悲しみつつ自分の命を吸血鬼に差し出した。
・これで、彼女は助かり、自分の死が確定したはずだった。
↓
004
・阿良々木 は意識を取り戻す、そこは元学習塾の廃墟。
・一緒に見知らぬ十歳ほどの金髪の少女が居た。
・すでに、三月二十八日。
・二日が経過していた。
・外の光に触れようとしたとき、阿良々木 は自分の変化に気づく。
・体が焼け、再生を繰り返す自分の体。
・そして、それを助けたのが、あの少女。
・少女は語る、自分が阿良々木 に助けられた美しき吸血鬼であることを。
・両腕両足を失い、体が幼女化した事。
・そして一番重要なこと、阿良々木 を眷属である吸血鬼にしたことを。
・彼女の名は「キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード」といった。
・キスショットと名指しする阿良々木。
・このときキスショットと相手を呼ぶ重みは知らなかったし、彼女自身もその名を口にすることを許したので、そのまま名を呼び続けることになる。
・そして、阿良々木 は一番の心配事を口にする。
・人間に戻れるのか?と。
・キスショットは戻れるという。
・そして、その条件と約束を阿良々木 に提示するのである。
↓
005
・人間に戻れるための条件。
・それはキスショットの両腕両足を奪い返すこと。
・相手は三名。
・吸血鬼退治の専門家だ。
・なぜ、キスショットが狙われたか。
・油断しなければ、三人を簡単に殺せるという。それほどレアで最強の吸血鬼。
・そして稀有な能力「怪異殺し」を持つゆえだという。
・阿良々木 はキスショットの言動に何か見落としている気がしていたが指示通りに夜の街に徘徊し三人の吸血鬼退治屋を探す。
・夜の街を徘徊する阿良々木 は三叉路にでた。
・そう、すでに囲まれていた、三人の吸血鬼退治屋に。

・正面右側に筋肉隆々で双剣の持ち主巨漢、ドラマツルギー。
・正面左側に線の細い男で巨大な十字架を持つ、エピソード。
・後方からは、神父風でおとなしい男、ギロチンカッター。
・3人は連携攻撃を阿良々木 に仕掛ける。
・それは、存在の小さくなったキスショットの行方を聞き出すための算段。
・恐れで動けない阿良々木 。
・そこへ、三人の攻撃をすべて受け止めて、尚をも無傷で威圧する男が現れた。

・そのチャライおっさんは、阿良々木 に「何かいいことでもあったのかい」と言った。
↓
006
・チャラいアロハシャツの命の恩人は、忍野メメと名乗った。
・忍野と阿良々木はキスショットの待つ元学習塾跡にきていた。
・忍野は語った。
・キスショットにこの場所を提供して結界まで張っていた事。
・阿良々木 が3人の吸血鬼退治屋と交戦状態に入ったこと。
・理由はわからないが、中立とバランスを保つ立場にあるらしい事。
・忍野メメはキスショットが阿良々木 を人間に戻す意思があることを認識すると、仕切りを始めた。
・それは、吸血鬼退治屋達に一対一の対戦方式でお互いルールをきめる交渉を取り付けるとだった。
・信用できない、と阿良々木 は考えるが、忍野の思惑通りそれから相手は手を出してこなかった。
・交渉はうまく言ったのだろうか?
・忍野は共に元学習塾跡に住み着き、段取りの期日が来た。
・三月三十一日、それはドラマツルギーと阿良々木 との対戦期日だった。
↓
007
・ドラマツルギーの対戦期日にキスショットは相手が同属であると阿良々木に伝える。
・吸血鬼に裏切りの概念はないのだという。
・吸血鬼に血を吸われると存在を搾り取られてしまうと忠告を受けるがそれは攻略にはなってない。
・妙に阿良々木 を信頼するキスショットだが、それでは確信も何も無い。
・阿良々木 はやむを得ず、本屋で「初心者の合気道」の本を購入(他、クラッシックの本、野球の本を購入、格闘技入門書を買うのが気恥ずかしかったのだ)
・ドラマツルギーとの対決の場所は、自分の通う高校の校庭。
・阿良々木 は約束どおり、そこへ向かう最中、羽川翼と出くわしてしまう。
・こんな夜に徘徊していた羽川の理由は、吸血鬼を探していたからだという。
・阿良々木 は自分の向かう先が危険なことを理解したうえで、羽川を言葉で悪態をつける。
・しまいには、自分の携帯に羽川のTEL番を抹消して見せた。
・さすがに、空気が悪くなり羽川は阿良々木 の前から消えた。
・これで、人間強度を保たれたのである。
・そして約束の校庭へ。
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008
・筋肉隆々の吸血鬼ドラマツルギーは先に校庭で鎮座していた。

・しかし、阿良々木 に対する言葉は意外なものだった。
・吸血鬼退治の吸血鬼の仲間になれという。
・当然人間に戻りたい阿良々木 は却下である。
・二人は激突した。
・だんだん、自分の体が並みの吸血鬼ではないと知る阿良々木 。
・勝負は潜在能力が全てだった。
・吸血鬼の変身能力で両腕を双剣にする能力のドラマツルギーだが。
・腕を吹き飛ばされても、瞬時に再生する阿良々木 と、顔面を阿良々木 により損壊させられたドラマツルギーは再生に二日もかかるという大きな違いがあった。
・これで勝負は決した。
・ドラマツルギーは早々に自分の敗退を宣言し立ち去る。
・しかし、一番の問題は、阿良々木 を心配し、その後をついてきて全てを目撃していた羽川翼のほうだった。
↓
009
・次の日、羽川に事情を説明するということで帰ってもらう。
・元学習塾で忍野がキスショットの右足を持ってきた。
・交渉どおり、ドラマツルギーは約束をまもったのだ。
・右足を喰らい、キスショットは幼女の体格から成長し、12歳くらいの姿となる。
・そして、忍野は阿良々木 にこう伝える。
・眷属にされることの意味は重要だということを。
・なぜ、阿良々木 を喰わずに眷族にしたのか。
・それはキスショットが阿良々木 を死なせたくなかったからだと。
・そして、問題は彼女が完全復活した後だということを。
↓
010
・四月一日の日没直前の元学習塾。
・羽川翼にキスショットや、自分に起きた経緯を話した。
・こんな状態の阿良々木 に下着や相談まで乗ってくれる羽川。
・それはとても常軌を逸しているかもしれない。
・でも、今の阿良々木 にとっては彼女は救いであり心強い味方だった。
・昨日のドラマツルギー戦の反省として、漫画の主人公をイメージして戦うのが有効だという始末。
・このとき、忍野は羽川を避け外出し、キスショットに関しては羽川のことが目に入っていないようだった。
↓
011
・四月四日、次の対戦相手が決まる。
・相手は体格の3倍以上ある十字架を武器にする、エピソード。
・その正体は、吸血鬼のハーフ。

・吸血鬼の弱点が無く、吸血鬼の特性を持ち合わせる。
・勝負は一方的に阿良々木に不利であった。
・だが、再びこの対戦を覗きに来ていた羽川翼の助言で、阿良々木は相手を打倒する。
・しかし、エピソードの攻撃で羽川翼は死に瀕してしまう。
・絶叫し、阿良々木は忍野に助けを請う。
・忍野は対価300万で阿良々木に羽川を救うアドバイスをする。
・そう、阿良々木は吸血鬼。
・その血は生物の再生させる奇跡の液体なのだ。
・瀕死の羽川が阿良々木の血により、生命活動を取り戻す。
↓
012
・忍野の手により、エピソードからキスショットの左足を取り返した。
・キスショットは右足と同じように、左足を食う。
・そして、キスショットは成長する、今度は十七歳くらいの姿だ。
・この日もキスショットの睡眠後に、羽川翼が元学習塾におとずれた。
・羽川との雑談が始まる。
・阿良々木は思う、死ぬ思いまでした羽川はいまだに自分のために尽くしてくれるのだ。
・それは、聖人の様であるが実際怖いものだ。
・阿良々木は羽川にその言葉をぶつけ、この件から引いてくれと頼んだ。
・条件として、自分が人間に戻った後、始業式の学校で再開を喜ぼうと。
・羽川はエッチでパンツ好きな阿良々木のために、はいているパンツを阿良々木に貸す。
・常軌が逸している、というより、痴女のようだ。
・新学期の再開時にパンツを返す約束し、羽川は自宅へ帰った。

↓
013
・三時間後、忍野が帰ってきた。
・最後の対戦相手ギロチンカッターとの交渉に失敗したのだ。
・ギロチンカッターは、羽川を襲い人質にした。
・人間であり聖職者であり、自らを神と名乗るギロチンカッター。

・怪異ではないが、悪意が強い。
・緊急に学校校庭にて阿良々木との戦いが始まる。
・しかし、戦いとはいっても優位なギロチンカッターの言葉での戦い。
・羽川を盾にした一方的な交渉。
・勝利は確定している、阿良々木が人間に戻りたいという観念を取り払わなかったらならばだ。
・ゆえに羽川を救うため、阿良々木は人間をやめる。
・吸血鬼の変身能力をつかう、それは常日頃阿良々木が植物になりたいというイメージに沿う形で具現化した。
・阿良々木の腕が一瞬で植物の枝となりギロチンカッターをからめて捕らえる。
・勝敗は決した。
↓
014
・四月六日、昼。
・忍野メメが、交渉どおりギロチンカッターから両腕を取り返してきた。
・自ら神と名乗り、怪異を全否定するギロチンカッターが返してくるとは意外だった。
・これも、忍野の交渉の手腕なのだろうか?。
・まだ疑問はある、忍野のおかげで一対一の決闘形式にしてもらっても、退治の専門家相手に自分が勝てた理由。
・キスショットがあの程度の退治屋三人で、瀕死に陥るのかという疑問。
・答え。
・忍野がすべて知っていたのだ。
・いや、当事者だったのだ。
・彼の手には、心臓が握られていた。

・キスショットの力がほとんど失われた理由が、忍野により盗み出されたキスショットの心臓のせいだった。
・確かに、力を失ったキスショットと退治屋三人では五分五分だろう。
・すべては、バランスを理におく忍野の独断だった。
・忍野の読みでは、退治屋とキスショットを五分にしたあとは、どちらが勝っても関与しないはずだった。
・だが、怪異殺しのキスショットが眷族を作ることは想定外だった。
・阿良々木暦が吸血鬼になってしまう事で、忍野の算段はリセットされたのだ。
・ラスボスという立ち位置まで阿良々木に教える忍野メメ。
・しかし、羽川を巻き込んでしまったという罪滅ぼしで心臓を阿良々木にわたす。
・忍野は元学習塾を立ち去る間際、阿良々木に最後の質問をする。
・「最近、おなかすかない?」
↓
015
・その夜、心臓と両腕をキスショットに返し、完全体となった。
・姿は、初めて出会ったときの27歳ぐらいに戻った。
・だが、9歳の子供のようにはしゃぐのだ。
・ちなみに、忍野に心臓を奪われていたことには気がついてなかったようだ。
・ついに、人間に戻るときが来た。
・だが、その前に、キスショットと二人で元学習塾の屋上で積もる話をする。
・それは、他愛の無いものからやがて、キスショットの過去の話へと移る。
・日本に来た理由、それは、第一の眷属が四百年前の日本の侍だったこと。
・死んだ理由は、自殺だったこと。
・それ以降、眷属を作ることを禁じたこと。
・その侍の形見の刀「心渡」を今でも腹の中に、持ち続けていたこと。
・切ない、キスショットの一面を見る阿良々木。
・やがてくだらないことを言い合える仲になっていた。
・夜も深くなり、阿良々木は小腹空いてコンビニに行くことを伝えて元学習塾を去る。
・お別れに、盛大にケーキでも買ってやろうと考えて。
・四月七日 午後二時過ぎ。
・「ただいま」。
・戻った阿良々木の目に映ったのは、絶望。
・キスショットの食事。
・食べていたのは、あのギロチンカッター。

・阿良々木に気づき、美しき鬼は首をかしげてこう言った。

・「めがねで三つ編みの携帯食は持ってこんかったのか?」
↓
016
・「人間を食べちゃ駄目だろ・・・」。
・キスショットの理解不能な表情を見て、阿良々木は気がつく。
・吸血鬼は人を食うのが常識で、自分が人間に戻ったとき起こる恐怖を。
・にげた。
・そこは、学校の体育倉庫。
・恐怖に脳をかき乱されながら、最初の眷属が死んだ理由がやっとわかる。
・人を食すことを拒んだためだ。
・阿良々木に吸血衝動がおき始めていた。
・助けてほしかった。
・すでに羽川の携帯番号は自分で消してしまった。
・だが、また入っていたのだ。
・羽川はこうなることがわかっていたように。
・自分のおかれている状況で、羽川に助けを呼ぶのは危険だ。
・だがもはや、阿良々木は孤独と恐怖に耐えられない。
・電話をすると、羽川はすぐに駆けつけてくれた。
・常軌を逸している。
・阿良々木は羽川にすべての事実をぶちまけた。
・羽川もそれに興じる事を使命に感じているようだ。
・そして、人間に戻る方法を調べて阿良々木に希望を見出す。
・羽川が言うには、たった一つ。
・それは、眷属が主を殺すことだという。
・阿良々木は自殺の道をやめ、キスショットを殺す決意をしめす。
・しかしキスショットは、巨乳のお姉さんなので、悩殺されないとも限らない。
・阿良々木は、羽川にの胸を触らせてくれと懇願するが。

・羽川が、阿良々木に犯されてもいいという覚悟だったとわかると、臆してしまう。
・土下座で謝罪する童貞がそこにいた。
↓
017
・体育倉庫の外で轟音がした。
・キスショットが待ち構える。

・阿良々木は羽川に勝利を約束し外に出る。
・自分がキスショットを助けてしまった罪の清算をするために。
・キスショットは阿良々木を誘う。
・人間の立場になって自分の行いが、阿良々木にはまずいことだと理解し謝罪し。
・そして、永劫に自分と共にいてほしいと問う。
・キスショットは阿良々木の拒絶は想定していた。

・阿良々木が自分を助けたのは自分が弱っていたから。
・キスショットが阿良々木を助けたのは、阿良々木だからなのだ。

・それは切ない現実だった。
・決裂する二人の吸血鬼。
・殺し合いにて決着をつけることになる。
・しかし、対等に勝負することをキスショットは約束する。
・怪異殺し「心渡」と幻想具現化を使わない、不死力だけの勝負を。

・勝負は始まった。
・しかし、体育倉庫内で話を聞いていた羽川は違和感を感じていた。

・純粋な不死力の勝負。

・頭を吹き飛ばしても、両腕を粉砕してもすぐに再生する両者。

・不毛な戦いだ。
・ついに、羽川が違和感に気づき阿良々木のところに駆け寄る。
・その答えは、キスショットにとって、動揺を誘うものだった。
・隙を突いて、阿良々木はキスショットの首に牙を立て血をすする。
・勝負は決した。
・まだ血は半分しか吸ってはいない、羽川の答えも気になる。
・羽川は答える、キスショットが困惑するその答えを。
・それは、初めから阿良々木に殺されるためだったということを。
・キスショット。
・それは、第一の眷属が自殺して400年死に場所を求めていた。
・しかし、それは退治屋に殺されることではない。
・第一の眷属のために死んでやれなかった自分の落ちどを回復させるため。
・阿良々木のために死んでやることを選んだ。
・無意識に阿良々木の頬には涙が流れていた。
・むしょうな無力感と、苛立ちが立ち込める。
・気がつくと阿良々木は忍野メメの名を叫んでいた。
・「こんなところで出会うなんて空前だね」
・忍野メメはやはり今回も高みの見物をしていたのだ。
・阿良々木は、この状況の中で最善の策を忍野に依頼した。
・それは、みんなが不幸になる方法。
・キスショットの血を死ぬ寸前まで吸い取り、吸血鬼としての特性を失わせる。
・吸血鬼もどきの子供に堕ちてもらう。
・阿良々木も吸血鬼のスキルは少し残る、吸血鬼もどきになってもらう。
・無論、人間も食えない存在になる。
・誰の望みも叶わないから不幸。
・キスショットは死ねず、阿良々木も人間には戻れない。
・「僕はお前を助けない」。
・阿良々木は、自分を殺して人間に戻ってくれというキスショットの懇願を裏切ったのだ。
↓
018
・翌日、新学期が始まった。
・体育館でクラス分けを見て歓喜する阿良々木。
・羽川翼と同じクラスになったのだ。
・羽川と再会する阿良々木。
・羽川は吸血鬼が眷属を作る行為は性行為に近いといった。
・推測はつく、第一の眷属がキスショットの恋人だったのかもしれないことを。
・その眷属と阿良々木を重ねて、償いを果たそうとしたことを。
・放課後。
・元学習塾後へ一人で向かう。
・忍野がいた。
・「それじゃ第一回目はじめようか」。
・金髪の少女に血を吸われる。

・「お前が明日死ぬなら僕の命は明日まででいい、お前が今日を生きてくれるなら、僕もまた今日を生きていこう」。
・そう誓った。

・そして傷物達の物語が始まる。
END
・今回は、涼宮ハルヒの分裂と違い文字数もページ数も違うので、少し長くなってしまった。
・でも、このくらいの情報量で簡易なのだ。
・ここまで読んだ原作未読の人は、原作を読む気にはなれないかもしれないが、構造解析するに最低限な情報量だと考えてほしい。
●後編。
・伏線の張り方の構造解析。
・製作者視点で同じ構成を模倣してみよう。
・テーマ、製作コンセプトの構造解析。
・シナリオを作るうえでの教材的視点。
・後編へ続く
●当blog内 関連リンク
原作 傷物語とは何なのか? 前編( 西尾維新 構造解析視点 )
原作 涼宮ハルヒの分裂 とは何なのか? (谷川流 構造解析視点)
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